文系と理系の選択

カンガエル科

この記事にたどり着いてくれたキミへ

キミは、高校の選択コースで、文系とするか理系とするかを悩んでいる高校1年生か2年生でしょうか。
おそらく秋か年末までに選択コースを決めなければならないのでしょう。
でも心配することはありません。
医師になるために医学部と決めている、弁護士になるために法学部と決めている、などといった確固たる考えを持つ人でなければ、はたして自分は文系に行くべきか、理系に行くべきか、決めかねるのがあたり前なのです。
高校生のキミに、文系を選択した先にどんな人生が続いていくのか、理系を選択した先にどんな人生が続いていくのか、そんなイメージを持てるわけがないのですから。
そんなキミの悩みに、少しでも役立てばと思って、この記事を書いています。

高校での選択が一生を決めるわけではない

高校で理系コースを選択していたが、大学受験では文系学部を選んだ人。
高校で理系コースを選択していたが、国立大学の理系学部は残念で、私立大学の文系学部を数学で受験して合格した人。
大学には理系で入学したものの、途中で宗旨替えをして文系学部を卒業し、官僚になった人。
大学で工学部を卒業したあと、社会人としていろいろな経験を積んで大学の文系学部の教授になった人。
大学で工学部を卒業したあと、商社に入ってエネルギー関係の事業開発をしている人。
大学で工学部を卒業したあと、金融機関のアクチュアリーとして法令や制度に精通しながら年金計算を取り仕切っている人。
大学で法学部を卒業したものの、社会学を研究したくて学士入学し、大学の社会学部の教授になった人。
私の知り合いで数人を取り上げただけでも、こんなにもバラエティのある人生を歩んでいます。
彼ら・彼女らは、まずは高校で文系・理系の選択はしたものの、それに縛られることなく、自分の歩みたい方向へと舵を切り続けています。
かくいう私も、大学で工学を学んで、卒業後はエンジニアとして仕事をしていたものの、ある時点からは新事業開発、営業、経営企画と、文系的な仕事を十数年近く渡り歩いています。
たしかに文系・理系の選択は、しっかり考えたほうが良いと思います。

しかし重要なことは、
その選択がすべてではない
ということです。

長い人生において、いろいろな場面でいろいろな選択肢が現れてきます。その時には、高校で文系を選択したか、理系を選択したかは、それほど重要ではないのです。
重要なことは、勉強する意味を理解し、人生のどのような局面でも勉強し続けることができるかどうかです。

勉強する意味をまずはカンガエル

そもそも勉強する意味って、なんでしょうか?
ぜひ、この本を手に取って、読んでみてください。ちくまプリマー新書なので、きっと学校の図書館にも置いてあるはずです。

この中で、フーテンの寅さんの話題が出てきます。
その寅さんのひと言が、勉強する意味をシンプルに言い当てています。

「大学へ行くのは何のためかな。」

寅 「決まっているでしょう。これは勉強するためです。」

「じゃ、何のために勉強すんのかな。」

寅 「つまり、あれだよ。ほら、人間長い間生きてりゃいろんなことにぶつかるだろう、なあ?
そんな時に俺みたいに勉強してない奴は、振ったさいころの出た目で決めるとか、
その時の気分で決めるしかしょうがない。
ところが勉強した奴は、自分の頭できちんと筋道をたてて、
こういう時はどうしたらいいかなと考えることができるんだ。
だから、みんな大学へ行くんじゃねえか。」

自分の頭できちんと筋道立てて、考えることができるようになるために、勉強するだけです。

勉強しなければ、どうすべきかを考える時に、それこそサイコロの出た目で決めたり、占いに頼ったりすることになります。
そうではなくて、自分の頭できちんと筋道立てて考えることが、どれほど重要か、この本を読んで想像し、カンガエテみてください。

文系だって数学は重要

現代は、たくさんのデータを分析することで、さまざまなことが分かる時代になっています。
それは理系の世界に限ったことではありません。商品の販売予測、経済動向の分析、お金を貸す際のリスク分析などなど、いわゆる文系の仕事の世界でも、データを分析することは非常に心強い武器になるのです。
そこでは、数学の力が生きてきます。
確率統計の世界だけでなく、さまざまな関数、そして微分や微分方程式など、あらゆるところで活用されています。
数学が苦手だから文系へ、などとは言っていられない世界になっているのです。

苦手で文系・理系を選択すべきではない

もしキミが世界の環境問題の解決に貢献したいと考えているのなら、どういう道を選択しますか。
理系に進み、再生可能エネルギーを深化させる技術を開発するのだってあり。
文系に進み、環境経済学の立場からさまざまな課題の解決に貢献するのだってあり。
道は一つではありません。
そして、それらの道はいずれは交錯して行きます。
私は理系だからここだけ、私は文系だからここだけ、などと言っていられなくなります。
まさに文理融合。
文系・理系のどちらの中身も理解して、総合的に対処していかなければ、複雑な課題を解決することはできません。
ですから、理数系の科目が苦手だから文系、文科系の科目が苦手だから理系などと言って、はなから苦手科目を捨ててしまうようなことは言わないでください。
いずれはどちらも必要になるのですから。
数学と物理が苦手で、国語が得意だった私も、理系学部に進んでもなんとか生き抜いてきました。
学校の科目なんかに惑わされないで、もっと先の目指すものに向けて、着実に進んでください。

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