小学校名に『旧』がつく寂しさ
千葉県鴨川市には祖父が住んでいたので、ものごころつく前から、一年に数回訪れていました。
祖父が亡くなった後も、菩提寺にある墓を守るため、定期的に通っています。
墓のメンテナンスをするだけであれば日帰りで通いますが、法事がある時は宿に一泊しています。
今回は安房鴨川駅近くではなく、少し趣向を変えようということとなりました。
安房鴨川駅から一つ先の太海駅で降りて、車で数分の距離にある宿です。
そこで周辺の地図を見ていると、近くにある小学校の表記が『旧太海小学校』となっているではないですか。
隣の駅の江見小学校と太海小学校、それと曾呂温泉のある曾呂小学校が統合されたそうです。
毎年訪れていると、地元の子どもの姿を見る機会がどんどん減り、少子化が進んでいるであろうことは想像していました。しかし小学校の統廃合という現実を具体的に目にしてしまうと、寂しい思いで胸がいっぱいになります。
祖父の家のそばには、親の友人も多くおり、その子供たちが私と同じくらいの年でした。そのため鴨川に行くと、そうした子ども達と一緒に公園や小学校の校庭で遊びました。そうこうしていると、その子たちの友達も集まってきて、かなりの人数で遊んでいたのを思い出します。
数百校が毎年廃校になっている現実
こうした現実は、日本全国で起きていることです。
毎年、数百の小学校が廃校になっています。
出所:文部科学省『平成30 年度 廃校施設等活用状況実態調査の結果について』
http://www.mext.go.jp/b_menu/houdou/31/03/__icsFiles/afieldfile/2019/03/15/1414296_1_1.pdf
都市部でも公立学校の統廃合は行われていますが、現時点ではまだ人口の都市流入が続いているので、学校数の減少は緩やかです。しかし地方では少子化の影響をもろに受けて学校の適正規模、たとえば小学校の一学年で2クラスから3クラスの規模を維持できなくなっています。そのため公立学校の統廃合が避けられない状況です。しかし近くの学校が廃校となり、遠くの学校へバスで通学するとなると、子育て世代の家庭から見ると教育環境の悪化となり、そうした住民の流出に拍車をかけてしまいます。
そんな地域の苦悩が記事にまとめられていました。
https://news.yahoo.co.jp/feature/1347
ピンチをチャンスに
そんな思いを抱えていた時に、ふと目にしたのが廃校の活用事業募集でした。
鴨川市で『旧太海小学校等活用事業に関する事業者の募集について』
http://www.city.kamogawa.lg.jp/shinchakujoho/nyusatsu_keiyaku/1561352035361.html
廃校と言うのは、必ずしも後ろ向きのことだけではなく、校舎や校庭を次の何かにつなげることができれば、未来への懸け橋となります。
同じ房総でも、鋸南町の保田小学校は道の駅に、その姿を変えています。
道の駅の保田小学校では、買い物や食事だけでなく、宿泊や入浴も可能になっています。
年間60万人ほどの利用客により、約6億円のビジネスとなっているそうです。
廃校だって、道の駅だけでなく、もっといろいろな利用方法があるのでしょう。そうした知恵をみんなで絞り出して、チャレンジしてみる。消費を取り込むことで、より多くのお金が循環する仕組みを作っていく。
そして若者の雇用を確保して、定住者を増やしていく。
そんなことを可能にできるのは、人間の知恵であると信じています。