衝撃的なニュースが入ってきました。
英検の「2 days S-Interview」は、CBT方式では受験できない場合のみ利用できることが発表されました。
https://www.eiken.or.jp/eiken/info/2019/pdf/20190626_pressrelease_2020S-Interview.pdf
そもそも「2 days S-Interview」とは?
大学入学共通テストに使用する、実用英語技能検定(英検)のテストには、『英検2020 2days S-Interview』『英検2020 1day S-CBT』『英検CBT』の3つががあります。
『英検2020 2days S-Interview』が、従来型の英検とほぼ同じ実施形態で、従来とは違い一次・二次と分かれずに、対面式のスピーキングまで含めて実施されるものです。
『英検2020 1day S-CBT』は、従来型の英検に近いのですが、スピーキングテストが吹き込み式(機器に録音させる方式)のテストである点が異なります。
『英検CBT』は、4技能すべてをコンピュータ方式で実施するもので、従来型の英検とは大きく異なります。
こうしてみると、「2 days S-Interview」は従来の英検とほぼ同じ実施形態なので、受験生の多くはこのタイプを選ぶのではないかと思われていました。
通常の受験生は 「1day S-CBT」へ
今回の発表では、特別な事情がある場合のみ「2 days S-Interview」の受検が可能であり、通常は「1day S-CBT」を受検することになるそうです。
「1day S-CBT」は、スピーキングテストが機器に録音させる方式のため、これまで英検を受けてきた高校生にとっては初めての経験となります。
旺文社の調査によると、入試で利用しようとしている外部検定は、「英検」70.2%、「GTEC」10.2%、「TEAP」8.5%、「TOEIC」5.2%だったそうです。高校生の多くが慣れ親しんだ英検は強しといったところです。また問題形式への慣れ、問題集など教材の充実度などで、他を引き離しているのは事実でしょう。しかし、スピーキングテストが機器への録音式となり、GTECの形態に近くなるので、英検のアドバンテージが「若干」減るかもしれません。
「1day S-CBT」の概要が明らかに
そうこうするうちに、「1day S-CBT」の2020年実施概要が明らかになりました。
https://www.eiken.or.jp/eiken/info/2019/pdf/20190702_pressrelease_2020S-CBT.pdf
いくつかのポイントがあります。
・リーディングとリスニングはペーパー形式のテストとなる(2019年ではコンピュータ形式のテスト)
・2020年4月~7月に第一回検定、8月から11月に第二回検定が実施される
・原則、土日・祝日の日中、または平日夜に実施予定
・全国186エリアに約260のテストセンターを設置
・第一回の予約は2019年9月からスタート(本申し込みは2020年2月から)
いよいよ、本番に向けて具体的な内容が明らかになってきていますので、受験生の親御さんも、情報収集をしっかりとする必要がありそうです。
GTECは本当に高校会場を使うの?
一方のGTECは、テストセンターではなく、高校会場で実施するようです。
高等学校での会場では,会場責任者,及び各室ごとの試験監督員以外の試験実施に協力する,受検生の所属高等学校の教職員を含みます。この場合教職員には,以下等の対応のご協力をいただく予定です。
・資材の受取・保管・実施後の保管・回収業者への引き渡し等
(校内放送を利用する場合は,放送設備の操作も依頼)
・上記対応内容をまとめた手順書を送付し,手順通りに実施していただく旨の誓約書の事前提出
…親族に本試験の受検予定者がいない見込みであることの確認も盛り込む
・手順書に沿った対応の確認については,教職員から主催者へ署名付き確認書の提出
・試験に関わる内容全ての機密保持についての同意
なお,主催者である弊社より不定期に準会場の現地確認に行く等,実態を確認することも検討しています。
出所)https://www.benesse.co.jp/gtec/assets/pdf/doc-04-01.pdf
従来のセンター試験に相当するような公平性や公正性の担保を、上記のような対応だけで本当にできるのでしょうか。
また英検が常時実施を目指しているのに対し、GTECは年3回しか実施を予定していないようです。そのあたりは、受験生にとってはかなりの制約になりかねません。
これから、より細かな情報が開示されるでしょうから、そうした情報も確認していく必要がありそうです。
TOEICは不参加
7月2日には、TOEICが「大学入試英語成績提供システム」への参加を取り下げました。
https://www.iibc-global.org/iibc/press/2019/p119.html
もともとビジネス英語を中心にしたテストなので、大学入試で本当に使うの?という疑問を個人的には感じていましたが、テスト自体が不参加となったとのことです。
影響する高校生は相対的には少ないとは思いますが、少数でも利用予定であった高校生がいたのは確かなので、早期に不参加の判断をされたのは賢明だったと思います。
結局はどれを使うのだろうか?
英検の「1day S-CBT」は準2級で6,900円です。(2級は7,500円で、準1級は9,800円です。)
GTECのAdvanced/Basic/Coreは 6,700円程度とのことです。
ここがミソだと思います。
多くの国立大学は、英語外部試験の利用方法をA2(準2級レベル)で出願資格とする予定です。
つまり、国立大学を受験する高校生は、英検の「1day S-CBT」で準2級を取れれば、それ以上の級を取得する必要はなさそうです。だとすれば、英検の「1day S-CBT」もGTECもほぼ同じ金額で受検できると考えても良さそうです。
また私立大学では、たとえば慶應義塾大学は英語外部試験を使用しないことを明確にしていますし、早稲田大学の政経学部は「大学入試英語成績提供システム」を経由しない成績提出も認めるとともに、高2からの2年間分を有効とするようです。私立大学は受験者数が減ることを嫌うでしょうから、できるだけ間口を広げるでしょうから、「大学入試英語成績提供システム」を経由する成績提出をあえて求めることはなく、従来の入試での英検・TEAP・GTECなどの利用方法と同じスタイルになるのではないかと思います。
多くの受験生は、英検の「1day S-CBT」で準2級(もしくは2級)を受検して、英語のレベルはきちんと満たしていることを明確にするような気がします。
もちろん、上智大学のTEAP入試のように英語外部試験の比重を大きく取っている私立大学の受験生は、従来と同じ様に外部試験を受検すると思います。
結局のところ、英語外部試験の利用という狂想曲は、いったいどこへ向かうのでしょうか・・・