入試改革が見えてきた ~早稲田大学政経編Ⅲ

早稲田大学 大学受験

これまでの経緯

早稲田大学は、昨年、2018年5月30日に早々と2021年度入試の改革について公表しました。
その際、政治経済学部についても詳細が発表されています。
https://yourmomentoftruth.com/2018/06/06/post-383/

さらにサンプル問題を、2018年8月3日に発表しています。
https://yourmomentoftruth.com/2018/08/05/post-478/

この中で、全体で200点のうち、 英語外部検定試験を30点加味することとなっていました。

その後、2019年4月26日の追加情報の発表から、各試験実施機関から受験生を介さず直接早稲田大学に提供される成績データであれば、2年以内の試験結果が利用できるとされています。


つまり現高2生が今年受検した結果も、利用可能ということです。

いよいよ具体的に

『2021年度 早稲田大学 政治経済学部 一般入学試験における英語外部検定試験の取り扱いについて』として、7月12日に具体的な取り扱い方法が公開されました。
https://www.waseda.jp/fpse/pse/assets/uploads/2019/07/d98f8b7bb943794f784b15a62eca416f.pdf

この中で大きな変更となっているのは、英語外部検定試験を30点加味するとしていた方針を、15点に減らしていることです。
これにより、200点満点というところは変更ありませんが、共通テスト100点、英語外部検定試験15点、学部独自試験85点の配点に変更となります。

さらに英語外部検定試験の得点換算表を掲載しています。
https://www.waseda.jp/fpse/pse/assets/uploads/2019/07/d894af159d0c14ed7201327a238c2c0a.pdf
B1(英検2級レベル)だと5点~9点、B2(英検準1級レベル)だと10点~14点、C1(英検1級レベル)で15点満点になるそうです。
文部科学省が提示しているものの、多くの論者から指摘されている「問題を抱えた」CEFR対照表に沿っています。
http://www.mext.go.jp/b_menu/houdou/30/03/__icsFiles/afieldfile/2019/01/15/1402610_1.pdf

またQA表がついていて、そちらに詳細が記載されています。
https://www.waseda.jp/fpse/pse/assets/uploads/2019/07/5438857c5885d15ad0766288c4f2bd5a.pdf
現高2生が今年受検してスコアを使える外部検定試験についても記載があるので、参考にしてはどうでしょうか。

影響度はどのくらい?

QA表には、以下のように記載があります。

Q7
なぜ英語外部検定試験の得点換算を1点刻みとするのですか?

A7
大学入試センターが2018年3月に策定した「各資格・検定試験とCEFRとの対照表」は、本来、英語能力の到達度を測る指標であり、現在の一般入試のように1点刻みで入試に用いることに対しては、異なる意見があると認識しています。しかし、5点、10点という大きな刻みで評価すると、英語外部検定試験のスコアの僅かな差が5点、10点という大きな得点差につながってしまい、事実上英語外部検定試験だけで合否が決まることになりかねません。このような事態は現在の入試制度においては望ましくないと判断しました。また、1点刻みとすることで「各資格・検定試験とCEFRとの対照表」に変更が加えられた場合に、英語外部検定試験における同じスコアが受験する年度によって入試においては大幅に異なる得点に換算されてしまうという問題も緩和できます。
以上の理由から、英語外部検定試験のスコアを入試における得点に換算する場合は、1点刻みの評価が最善であるという判断に至りました。

出所)早稲田大学『2021年度以降の政治経済学部 一般入学試験に関するQ&A』より抜粋

たしかに1点刻みにすれば、早稲田の政経を受験する高校生であれば、10点前後のあたりに多くが分布することになるのでしょう。
しかし例えば、海外在住経験のある英検1級レベルの受験生と、日本国内で指導要領に沿って地道に勉強してきた英検2級レベルの受験生とでは、最大10点の差が英語外部検定試験だけでついてしまうことになります。
全体で200点満点なので、その中の10点というのは、かなりの割合です。
共通テストが100点換算なので、その1割に相当する点数です。
現行のセンター試験では、東大合格者の多くが9割を得点し、せいぜい8割得点ぐらいまでがギリギリと見られます。
センター試験の平均点は6割を目指して問題が作成されていましたが、これからの共通テストは平均点5割を目指して作成されるようです。共通テストのほうが若干難易度が上がるので、センター試験よりも分布はもっと広がるかもしれません。
そうとしても、センター試験を参考にすれば、ほぼ共通テストでの東大合格者の得点分布に近い点数差が、英語外部検定試験だけでついてしまうことになるのです。
このことが、再来年の入試における合格者にどのように影響するのか?
とても興味深い決定だと思います。

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