【親から子へ】英語の勉強法とおすすめの参考書・問題集

大学受験

中学受験のように二人三脚というわけにはいきませんが、高校生になっても親のアドバイスを「少しは」参考にしてくれます。
たしかに何十年も前の経験ではありますが、勉強方法の本質は変わっていないように感じています。
そんな背景で、親から子へアドバイスしたことをログとして残しておきます。
なお中高一貫校に通う場合のスケジュール感ですので、もし高校受験をされている場合は、別途考慮が必要です。
今回は英語です。

身につけてほしいこと

入試問題は、受験生と大学の対話のツールです。
そこには、大学の明確な意思があります。その意思を、大学はホームページなどで公開しています。
志望大学を決める際にも、アドミッションポリシーなどに目を通すようにアドバイスしました。
たとえば東京大学であれば、『高等学校段階までの学習で身につけてほしいこと』として、高校生へのメッセージを伝えています。
https://www.u-tokyo.ac.jp/ja/admissions/undergraduate/e01_01_18.html
東京大学を受験するかどうかは別としても、大学というところが高校生に何を求めているのかは参考になるので、一読するように伝えました。
受験勉強は、合格が目的ではなく、その先の大学で学ぶための準備であることを、可能な限り意識づけしようと考えていました。

 人間は「ことば」なしでは生きていけません。誰もが「ことば」で考え,相手の感情を知り,自分の思考を相手に伝えます。「世界的視野をもった市民的エリート」を育てることを使命とする東京大学は,教養教育(リベラル・アーツ教育)を重視しており,そのため,入試問題においては,多くの外国語による受験に門戸を開いています。具体的には,英語のほか,ドイツ語,フランス語,中国語等による受験が可能です。共通して求める能力をまとめるとすれば,「外国語による理解力と表現力」ということに尽きます。
 いずれの外国語についても,本学で学ぼうとする皆さんは,高等学校までの教育課程の範囲内で,それぞれの言語によるコミュニケーションに必要とされる理解力と表現力を備えていることが期待されますので,その言語についての正確な知識に裏打ちされた論理的な思考力の養成に努めてください。外国語文の和訳,和文の外国語訳,文法的知識を問う問題は言うまでもなく,ときにその言語の背景にある社会・文化への理解を要求する問題が出題されるのも,そうした努力の成果を見るためです。
 以下,外国語として選択されることの最も多い英語について若干付言します。現代社会において,市民的エリートとしての責任を果たそうとすれば,英語力が重要な要素であることは明らかでしょう。ここで求められる英語力は,具体的には3点にまとめられます。

1) 英語による受信力
 知的内容のあるコミュニケーションが交わされる場において,相手側の英語による発信を正しく理解する能力が必要不可欠であることは言うまでもないでしょう。読解・聴解を含めた受信力を問う問題が出題されるのはそのためです。

2) 英語による発信力
 同様の場において,自分の述べたいことを正しく英語で表現できる発信力が不可欠なこともまた明らかです。英作文の問題が出されるのはこのためであり,現在,「話す」能力の試験を課すことができないのはもっぱら技術的な理由によります。

3) 批判的な思考力
 上記2点の能力を発揮し,健全なコミュニケーションを達成するためには,例えば常に何が「正しい」のかを問うような想像力豊かな批判的視点がなければなりません。それがなければコミュニケーションの場には誤解と曲解が渦巻くことになります。

こうした英語力を身につけるためには,発音・語彙・文法構造などの細部の把握と,論理構成の理解や文化的背景についての知識に裏打ちされた大局的な把握との両面での訓練が必要であり,教養教育ではそうした英語教育を目指しています。そのため,本学を志望する皆さんには,高等学校学習指導要領の範囲内で,そうした英語カリキュラムに対応できる能力を身につけるように特に意識して,学習を進めてほしいと思います。

(出所:東京大学HP 『高等学校段階までの学習で身につけてほしいこと』)

受験勉強で注意すべき5つのこと

受験勉強には、鉄則があります。人それぞれではあると思いますが、私自身が持っていた鉄則をアドバイスしました。

①登る階段を意識する
勉強の多くは、積み上げ型です。英語は、読む・聞く・書く・話すの4技能が求められますが、どれも日々の積み重ねで力がつく能力です。ですから、小学校のころから、日々、英語に触れるように仕向けてきました。
大学受験だからといって、何か特別なことをアドバイスしたわけではありません。
参考書・問題集をアドバイスする際には、その時点で足りていない部分を補うために必要なことを理解させながら伝えました。

②優先度をつけて絞り込む
自分が受験生だったころは、読解と英作文(和文英訳)だけだったので、そこに集中できていました。
「英単語」&「文法」→「解釈」→「長文」「英作文」というのが、英語の学習の王道だったと思います。
しかし現在は、リスニングも入り、また読むべき長文のスタイルも多様になってきています。
なじみ深い受験勉強だけでなく、リスニング対策をする時期も必要となるので、語彙や文法などは優先的に進めて、早い時期に一定レベルに上げておく必要があることはアドバイスしました。

③スケジュールを確認する
高2から受験勉強を始めるケースが多いようです。
2年間の長丁場、どのようなタイミングで、どのような勉強をするのか。大人と違って、高校生ではまだスケジューリングが苦手なことが多く、漫然と進めがちです。この部分については、アドバイスというよりも、親からの問いかけによって、スケジュールを意識させるように仕向けました。

④インプットとアウトプットのウェイトを考える
最終的には、受験本番でどれだけのアウトプットを出せるかが鍵です。
しかし受験英語はインプットのウェイトが比較的大きい科目です。
常にインプットを重視しながら、模試などでアウトプット力を確認するように伝えました。

⑤スイッチを切り替える
現代において、勉強の大敵はスマホです。
私の時代の大敵はテレビでしたが、勉強部屋とは物理的に離れた場所にあったので、意識しなくても切り替えができていました。
しかしスマホだと、そうはいきません。常にそばにあるので、ついつい触ってしまいがちです。
そこで、勉強する時はスマホをリビングに置いておくなど、気持ちの切り替えをしっかりするようにアドバイスしました。

4技能化の流れを注視

こと英語については、4技能化の流れがあるので、私が知っているこれまでの勉強法だけでは不十分な可能性があります。
2021年度入試から始まる共通テストでは、リーディングとリスニングの点数が同じ100点ずつになるなど、これまでのリーディング重視の勉強では、足をすくわれることも考えられます。
学校や予備校が、いろいろな対策を検討してくれると思いますが、親としても情報収集は怠らないことが必要になってくるでしょう。このあとの参考書・問題集の紹介は、あくまで3技能時代のものなので、そこは留意してください。

勉強法とおすすめの参考書・問題集

1.語彙

東大も『発音・語彙・文法構造などの細部の把握と,論理構成の理解や文化的背景についての知識に裏打ちされた大局的な把握との両面での訓練が必要』と言っているように、語彙をおろそかにすることはできません。
たしかに文章を読む中で、語彙を増やしていくことは大切なのですが、抽象的な意味を持つ語彙などは、そうそうお目にかかるわけでもありません。
そこで、語彙を習得する努力は必要なことを伝えて、自分にしっくりくる参考書を書店で選ぶようにアドバイスしました。
ただし音声付きで、目だけでなく、耳からも覚えることが大切なことは伝えました。
先輩や友人からも、おすすめの単語帳などの情報は集めていたようです。

2.文法

英語は積み上げの学習です。最初のレベルの理解があいまいなまま、次のレベルに進んでも、きちんと理解はできません。
中学基礎レベル、高校入試レベル、高校レベルに分けて、文法の学習を考えていく必要があります。
小学校のころから英語に触れてきたので、中学基礎レベル、高校入試レベルは足固めできていました。
そこで高校レベルの文法を、早い段階でひと通り学習するようにアドバイスしました。

文法問題を解くことが目的ではなく、読解できるようになるための文法学習なので、『大岩』のような薄い参考書をサクッと学習して、あとはAtlasのような文法書を辞書がわりに分からないところが出てきたときに調べることで十分と伝えています。
学校で英文法の参考書を配布されることもあるようなので、その場合はAtlasなどではなく、学校で配布されたものを使用すれば良いでしょう。

3.センターレベルの英文解釈

ここで英文解釈と言っているのは、短文の意味を正確に把握することです。つまり精読ができるということです。
昨今の英語教育の流れは多読重視で、大意を把握するという面が強調されすぎているきらいがあります。そのためか、「なんとなく」読みが非常に増えています。実際に子どもの模試の結果や英検の結果を見ると、そうした傾向が強く出ていました。
使える英語というメッセージが強くなりすぎて、多読は「善」、精読は「悪」という風潮があるため、子どもに英文解釈の必要性を理解してもらうのに、とても苦労しました。
「使える」の意味であったり、レベルであったりが、まったく違うことに気付いていないのです。それもあたり前です。難関大学の二次試験に出題されるようなアカデミックな文章にまだ触れたことがなく、英語圏の子どもが読むような文章で多読を進めてきているのですから。
普段のコミュニケーションの延長上での英文を読むレベルというのは、極論を言えば5W1Hを把握できれば問題ないわけです。告知記事や料理のレシピを読むというのは、いつ、なにをということが理解できればすみます。
大学全入時代の共通テストであれば、そうしたコミュニケーション力を測るということも理解できます。
しかし、難関大学の二次試験で問おうとしている力は、以前「東大英語の入試問題を解いてみた」という記事でも書いたように、世界のアカデミアンが発信する内容を正確に受け取り、それに対する意見を正確に発信する力のベースです。


『発音・語彙・文法構造などの細部の把握と,論理構成の理解や文化的背景についての知識に裏打ちされた大局的な把握との両面での訓練が必要』と東大がメッセージを出しているのも、うなづけます。
前置きが長くなりましたが、「SVOC」を核として、既に学んだ文法知識を使って英文の構造を理解した上で、正しく文意を把握することが、ここでの目的です。
最終的には難関大学の英文を解釈できるようにすることですが、まずは通過点としてセンター8割を目指して。

4.センターレベルの長文読解

「英単語」&「文法」→「解釈」と身につけてきた力を使って、いよいよ長文にトライしていきます。
英文解釈をしながら、長文を読むことが目的です。最終的には読解スピードを上げていくのですが、この段階ではまだスピードを意識するのではなく、英文解釈が長文読解にどのようにつながっていくのかを意識しながら読んでいきます。
簡単な長文から、精読を意識しながら長文を読む癖をつけることをアドバイスしました。

5.難関大学の読解

志望大学の過去問で演習するほうが良いのですが、その前に1ステップ挟み込むためのテキストとして薦めました。
なお『英文読解の透視図』は、高いレベルの読解力を身につけたい高校生用で、難関大学で高得点を狙う人に向けたテキストです。

6.リスニング

普段のリスニング力強化は、長文問題の音源や単語帳の音源を聞くことで養っていきます。つまり耳の慣れをつくります。
我が家では、受験勉強を始める前に、ベースとなるリスニング力はついていたので、入試対策としていくつかの参考書に取り組むようにアドバイスしました。
東大英語リスニングは、東大だけではなく、リスニングを課される他の難関大学でも有用です。
また私大のTEAP入試も視野に入れていたので、その対策としてTEAPの問題集を薦めました。

7.英作文

英作文については、300選と大矢で高2の間に基礎を身につけて、過去問で練習を積むようにアドバイスしました。
ただし自由英作文については、そこに絞り込んだ問題集で練習し、先生に添削をお願いするようにしていました。

4.過去問演習段階

過去問演習の目的には、大きく2つあります。
・実際の試験時間の中で、時間配分と解く順番を決める
・志望大学の出題傾向に慣れる

最近は英語の長文化が進み、時間との勝負になってきている大学もあります。
いかに時間配分を上手にするかで、得点に大きな差が出ることもあります。
そのために、実際の入試形式になっている過去問を使う必要があります。
通常の赤本や青本と呼ばれる過去問です。

直近数年分を実際の入試の制限時間の中で解くことで、どの順番で大問を解いていくのかなど、時間配分の練習をしていきます。

いっぽうで、志望大学の出題傾向に慣れるためには、単元別に過去問を数多く解いてみる必要があります。
そのためには、英語だけ25年分を載せたような過去問や、志望大学の過去問への対策を目指した問題集を利用します。

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