東大が、2020年度から実施予定の大学入学共通テストにおける英語認定試験の活用について、ワーキンググループの答申を、7月14日に発表しました。
https://www.u-tokyo.ac.jp/ja/admissions/undergraduate/e01_admission_method_02.html
詳細は、答申をもう少し読み込んでからと思いますが、まずはざっと読んだ感想だけ。
そもそも、この件については、春先からずっと追っかけをしています。
そのブログはこちらです。
私自身としては、東京大学がこの問題を安易にやり過ごそうとするのではなく、「大学」というものの位置付けを再度確認しながら、最大限の良識ある判断をしようとしている誠意を感じるものです。
それはとりも直さず、これから入学してこようとする受験生を第一に考えてのものだと思います。
マスコミや受験産業があれこれ無責任ベースで報道やコメントを乱発している中で、この姿勢を貫くのは大変だとは思いますが。
今回の答申では、優先順位を付けた3つの提案を行っています。
提案1:出願にあたって認定試験の成績提出を求めない。
提案2:認定試験をめぐる諸課題への対応について文部科学省ほか関係機関からの具体的かつ詳細な説明を受け、十分に納得のいく回答が得られたらその時点で認定試験の活用可能性について検討する。
提案3:認定試験のA2 レベル以上の結果を出願資格とするが、一定の条件のもとに例外を認める余地を残し、可及的速やかに具体的な要件を定める。
個人的には、以前のブログでも書いたように出願資格とするにとどまる、つまり最終的には提案3になるのではないかと思っています。
提案1と2の可能性を最後まで残し、役人からの性急な押し付けに対して、真っ向から反論することで、WGが大学人の良心を示しているように感じます。
それでも、提案3に落ち着くのかもしれませんが、認定試験のB1レベルではなく、A2レベル(英検であれば準2級レベル)にしたところで、英語という特定の科目だけが出願資格として大きく影響することを避けたのでしょう。
発表の文章を読んでいて、ふと目に留まったのは以下の文章です。
そしてすでに指摘されているところであるが、大学入試における出題ミスや問題漏洩などの不正を絶対に避けなくてはならないことは自明であるにもかかわらず、多くの認定試験が個々の問題を公開していない現状では、これを検証することは不可能である。また、試験の回数や会場(スピーキングにおいては試験官)の増加などの努力が、試験の質や公平性の維持を危うくする可能性も否めない。こうした点について文科省、あるいは大学入試センターが責任を持つ統一的な検証や問題解決のシステムを持たぬまま、これを「共通」試験として全国の受験生に課していいものであろうか。
この文章は、マスコミや、その報道に影響されてあれこれ言う私たち一般大衆に対する、苦言としか思えません。
細心の注意を払って試験問題を作成している大学が、もしも出題ミスをしようものなら、寄ってたかってミスを批判し、つるし上げる一方で、このような見えない不公平の可能性に無頓着であるのは、どうなのかと。
こうしたバランス感覚は、大切にしたいものです。