中学受験のように二人三脚というわけにはいきませんが、高校生になっても親のアドバイスを「少しは」参考にしてくれます。
たしかに何十年も前の経験ではありますが、勉強方法の本質は変わっていないように感じています。
そんな背景で、親から子へアドバイスしたことをログとして残しておきます。
なお中高一貫校に通う場合のスケジュール感ですので、もし高校受験をされている場合は、別途考慮が必要です。
今回は国語です。
身につけてほしいこと
入試問題は、受験生と大学の対話のツールです。
そこには、大学の明確な意思があります。その意思を、大学はホームページなどで公開しています。
志望大学を決める際にも、アドミッションポリシーなどに目を通すようにアドバイスしました。
たとえば東京大学であれば、『高等学校段階までの学習で身につけてほしいこと』として、高校生へのメッセージを伝えています。
https://www.u-tokyo.ac.jp/ja/admissions/undergraduate/e01_01_18.html
東京大学を受験するかどうかは別としても、大学というところが高校生に何を求めているのかは参考になるので、一読するように伝えました。
受験勉強は、合格が目的ではなく、その先の大学で学ぶための準備であることを、可能な限り意識づけしようと考えていました。
国語の入試問題は,「自国の歴史や文化に深い理解を示す」人材の育成という東京大学の教育理念に基づいて,高等学校までに培った国語の総合力を測ることを目的とし,文系・理系を問わず,現代文・古文・漢文という三分野すべてから出題されます。本学の教育・研究のすべてにわたって国語の能力が基盤となっていることは言をまちませんが,特に古典を必須としているのは,日本文化の歴史的形成への自覚を促し,真の教養を涵養するには古典が不可欠であると考えるからです。このような観点から,問題文は論旨明快でありつつ,滋味深い,品格ある文章を厳選しています。学生が高等学校までの学習によって習得したものを基盤にしつつ,それに留まらず,自己の体験総体を媒介に考えることを求めているからです。本学に入学しようとする皆さんは,総合的な国語力を養うよう心掛けてください。
総合的な国語力の中心となるのは1) 文章を筋道立てて読みとる読解力
2) それを正しく明確な日本語によって表す表現力
の二つであり,出題に当たっては,基本的な知識の習得は要求するものの,それは高等学校までの教育課程の範囲を出るものではなく,むしろ,それ以上に,自らの体験に基づいた主体的な国語の運用能力を重視します。
そのため,設問への解答は原則としてすべて記述式となっています。さらに,ある程度の長文によってまとめる能力を問う問題を必ず設けているのも,選択式の設問では測りがたい,国語による豊かな表現力を備えていることを期待するためです。
(出所:東京大学HP 『高等学校段階までの学習で身につけてほしいこと』)
受験勉強で注意すべき5つのこと
受験勉強には、鉄則があります。人それぞれではあると思いますが、私自身が持っていた鉄則をアドバイスしました。
①登る階段を意識する
勉強の多くは、積み上げ型です。国語は、現代文、古文、漢文で、その特徴が違ってきます。
現代文は、小さなころからの読書など、文章に触れる積み重ねで読解力に差がつく教科です。ですから、大学受験だからといって、何か特別なことをアドバイスしたわけではありません。少しだけでも時間がある時に使えそうな参考書・問題集を伝えただけです。
古文と漢文は、受験勉強で一気に底上げができる教科です。そのため、短期間で基礎から積み上げていくことをアドバイスしました。
②優先度をつけて絞り込む
大学受験に向けた限られた時間を考えると、まずは数学と英語に対して優先的に時間を使うようにアドバイスしました。
その上で、古文と漢文の基礎だけは早いうちに仕上げて、苦手意識を持たないようにすることが効果的なことも伝えています。
③スケジュールを確認する
高2から受験勉強を始めるケースが多いようです。
2年間の長丁場、どのようなタイミングで、どのような勉強をするのか。大人と違って、高校生ではまだスケジューリングが苦手なことが多く、漫然と進めがちです。この部分については、アドバイスというよりも、親からの問いかけによって、スケジュールを意識させるように仕向けました。
④インプットとアウトプットのウェイトを考える
最終的には、受験本番でどれだけのアウトプットを出せるかが鍵です。
アウトプットを出すために、古文と漢文はインプットのウェイトが比較的大きい科目です。
ただしインプットの量はそれほど多くはないので、短期間に集中して基礎を固めるように伝えました。
⑤スイッチを切り替える
現代において、勉強の大敵はスマホです。
私の時代の大敵はテレビでしたが、勉強部屋とは物理的に離れた場所にあったので、意識しなくても切り替えができていました。
しかしスマホだと、そうはいきません。常にそばにあるので、ついつい触ってしまいがちです。
そこで、勉強する時はスマホをリビングに置いておくなど、気持ちの切り替えをしっかりするようにアドバイスしました。
勉強法とおすすめの参考書・問題集
1.現代文
現代文・古文・漢文のどれも、最終的に求められるのは読解力と表現力・解答力です。
読解力をつけるには、『語彙』『背景知識』『論理的な読解のテクニック』が重要となります。
表現力・解答力をつけるには、『設問の意図を把握する力』『選択肢を見極める力』『解答要素を論理的に組み上げる力』が重要となります。
読解力と表現力・解答力を磨くためには、次のような「タイプ」の参考書・問題集が必要になります。
他にも『船口のゼロから読み解く』『田村のやさしく語る』『ことばはちからダ!』『入試現代文のアクセス』『船口の最強の現代文記述トレーニング』『現代文のトレーニング 記述編』など、いろいろな参考書・問題集があるので、読解力と表現力・解答力のどこを強化したいのかを明確にして、書店で選んでみるといいでしょう。
2.古文
現代文・古文・漢文のどれも、最終的に求められるのは読解力と表現力・解答力です。
読解力をつけるには、『単語』『文法』『背景知識』が重要となります。
表現力・解答力をつけるには、『設問の意図を把握する力』『選択肢を見極める力』『解答要素を論理的に組み上げる力』が重要となります。
読解力と表現力・解答力を磨くためには、次のような「タイプ」の参考書・問題集が必要になります。
3.漢文
現代文・古文・漢文のどれも、最終的に求められるのは読解力と表現力・解答力です。
読解力をつけるには、『句法・句形』『漢字』が重要となります。
表現力・解答力をつけるには、『設問の意図を把握する力』『選択肢を見極める力』『解答要素を論理的に組み上げる力』が重要となります。
読解力と表現力・解答力を磨くためには、次のような「タイプ」の参考書・問題集が必要になります。
4.過去問演習段階
過去問演習の目的には、大きく2つあります。
・実際の試験時間の中で、時間配分と解く順番を決める
・志望大学の出題傾向に慣れる
実際の入試では、時間配分や解く順番で、得点に大きな差が出ることもあります。
そのために、実際の入試形式になっている過去問を使う必要があります。
通常の赤本や青本と呼ばれる過去問です。
直近数年分を実際の入試の制限時間の中で解くことで、どの順番で大問を解いていくのかなど、時間配分の練習をしていきます。
いっぽうで、志望大学の出題傾向に慣れるためには、単元別に過去問を数多く解いてみる必要があります。
そのためには、国語だけ25年分を載せたような過去問や、志望大学の過去問への対策を目指した問題集を利用します。