小論文問題は面白いが採点は大変そう
大学受験の主流は、あいかわらず英数国理社の教科での問題。
たしかにAO入試(アドミッションズ・オフィス入試)のように、小論文や面接で選抜する入学試験も増えてきているものの、一般入試では教科別の入試問題を課すことが普通です。
そうした中で、慶應義塾大学では一般入試で小論文を課し続けています。
与えられた主題に対して、自らの意見を述べる。
勝手な論理展開をするのではなく、相手が理解できる論を展開する。
高校までに触れてきた本や新聞などで得られた背景知識、友達や先生との会話の中での経験、そうしたものがすべて基盤となって、小論文に取り組む。
ある程度はテクニックのようなものが存在することは否定しませんが、光る文章は採点者の目に必ず留まります。
論を展開するための最低ラインをクリアできる受験生の判定でもあるでしょうが、いっぽうでは尖った受験生の発掘でもあるのでしょう。
第二次ベビーブーム世代から比べて子どもの数が半分になった現代。
入試制度そのものの多様化が進み、一般入試の志願者も減ったと思います。
それでも小論文の採点をしようとすると、大変な負荷がかかっていると思います。
小論文を課すことには、それだけの価値があるということなのでしょう。
慶應経済の2022年の問題
2022年の小論文の主題は
「多様性の中で、いかに意思決定や問題解決を行うか」
だと捉えました。
そのためには人間の「知能」ではなく「知性」が必要なのだと。
経済学は数字だけではなく、人を見ることの大切さを備えた学問だと思います。
2020年の分かち合い、2021年の非対称性や格差の中での公正さや平等といったように、経済学が解決しようとしてる社会の問題。
そのことに、どう向き合うことができる受験生なのか。
毎年、いろいろな大学の入試問題を見ることは、本当に楽しい、知的体験だと思います。
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