工学部出身だけど
ボクは大学で理系だったのですが、一般教養で文系の授業をとることができました。
でも選択したのは、社会学と国際政治学だったはず。残念ながら経済学は選択しなかったんです。
30年以上前の日本における経済学は、マルクス経済学と近代経済学、いわゆる「マル経」と「近経」の2つのカテゴリーで、どっち派かなんて言っていた時代でした。
そんなだったので、経済学に対して、なんだか浮世離れしたイメージを持っていました。
それなら思いっきり文系っぽい授業を受けたほうが面白そうという安易な発想で、社会学と国際政治学だったのです。
でも、もし「現在」20代で、文系の授業を受けられるなら、きっと経済学を取っていると思います。
30年間、ビジネスの世界で生きてきて、社会情勢に大きく左右されることも多かったです。
そんな時、やはり経済に対する土地勘が必要だったなと、今さらながらに思います。
さらに経済学は理系に近いんですよね。
数式を使ったモデルも、いろいろとありますし。
ボクは理系出身なので、数式にアレルギーは少ないほうです。
大学のころは、拡散方程式なるものを解くために、偏微分方程式を駆使していました。
ただし、20歳前後のころの話であり、現在は解ききるだけの自信はありません。
でも、世の中の事象をシミュレーションするには、微分方程式や偏微分方程式が「使える」ことを学べたのは貴重な経験だったと思います。
もし経済学に興味を抱いていれば、社会人になってからでも学んでも良かったのかもしれません。
しかし、大学を卒業後の人生においては、経営学については学びの機会があったものの、経済学にはまったく触れることなく過ごしてきました。
ある書籍との出会い
そんなボクが、あらためて経済学に興味を持ったのは、『始まっている未来 新しい経済学は可能か』という書籍に出会ったから。
宇沢弘文氏と内橋克人氏との対談形式ではあるのですが、内容がとても面白く、ぐんぐんと引き込まれていきます。
宇沢弘文氏は、日本人でノーベル経済学賞にもっとも近かった経済学者として有名で、最近では2019年に『資本主義と闘った男 宇沢弘文と経済学の世界』という書籍が出版され話題にもなりました。
2014年にお亡くなりになられていますが、ジャーナリストの内橋克人氏との対談として、2009年に『始まっている未来 新しい経済学は可能か』は出版されました。
大学に入ったばかりのボクが宇沢氏を知ったのは、『自動車の社会的費用』という岩波新書を通じてでした。
当時、岩波新書、中公新書、講談社現代新書など、暇があれば読んでいました。
その中の一冊が『自動車の社会的費用』だったのです。
正直、高校を出たばかりのアタマでは、『自動車の社会的費用』で宇沢氏が伝えようとしていたことを理解できませんでした。
ただ「社会的共通資本」という言葉だけは、アタマの片隅に残っていました。
その後、まさに市場原理主義と新自由主義が幅をきかせている世界で、社会人として生きてきました。
しかし、ボク自身、50歳をむかえたころから、もう一度、いろいろな挑戦をしてみたいなと思い始めました。
そんな時に出会ったのが、この本だったのです。
ボクにとってのキーワード
いろいろと考えることを促す本だと思います。
ボクもこの本を読みながら、「FEC自給圏」「ゼロ成長」「市場を道具として使いこなす」「競争ではなく共生」というキーワードに強く反応しました。
この本を読んでから数年が経ってしまいましたが、自分が20代になった気分で、経済学を学んでみたいと思います。
どれだけの時間がかかるのか、どれくらい学びにつながるのか、まったく分かりませんが・・・
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