共通テスト初年度を振り返ると

早稲田大学 大学受験

2月25日に国公立大学の二次試験が行われてから、早くも3ヶ月が経ちました。
受験生は、大学での新生活や予備校での新生活にも慣れてきたころだと思います。
ここいらで、共通テスト初年度を振り返ってみようかと思います。

高大接続改革

とにかく振り回されて、大変だった2021年度の受験生。
なんのために英語民間試験を使いたかったの?
なんのために共通テストの段階で記述問題を加えたかったの?
結局、尻すぼみになって、受験生が振り回されただけという思いしか残りませんでした。
結果論ではありますが、英語民間試験をやめて本当に良かった。あのままコロナ禍に突入していたらと思うと恐ろしさしか感じません。そもそも3月から5月まで緊急事態宣言で身動きが取れなかったですし、緊急事態宣言明けでもディスタンスを取ることを考えたら会場のスペースはまったく足りなかったでしょう。結局は民間試験を利用しないことに急遽変更になったのでしょうけど。

高校生活最終年度

学校の先生は、本当に大変だったと思います。設備もなにも整っていないところで、緊急対応でオンライン授業の準備を開始して、4月からの授業に間に合わせていた学校も多く、すごいパワーだと感心していました。
しかし部活ができず、最後の大会にも参加できなかったのは、高3生は本当に可愛そうでした。この時のために、ずっと練習を重ねてきたのでしょうし、その成果を引っ提げて大学での活動につなげようと思っていた生徒も多かったでしょう。
いっぽうで、通学時間がなくなり、部活の時間もなくなり、3月から受験勉強に専念できた生徒にとっては、夏前にかなり学力が伸びた人もいたと思います。普通であれば、夏前に部活を引退して、夏休みから全集中で勉強して、秋に成績が伸び始めてくるのでしょうけど、今年は仕上がりが早い現役生が多かったと思います。

模試

駿台は会場模試を継続していましたが、河合塾は塾生か学校申込に限定してしまい公開の会場模試は開催しませんでした。駿台の東大模試を受けた人数は例年並みでしたが、河合塾の東大模試の受験数はどうだったんでしょうね。母数が減ってしまうと、判定を出すのも大変だったと思います。
今年の模試で明確に出ていたのは、現役生が強いということ。入試制度が変更されるということで、昨年度の受験生が浪人を回避したことが大きく影響していました。そのため、夏や秋の模試は仕上がり具合で浪人生有利が普通ですが、今年度はその差が非常に小さかったというものです。

共通テスト

2020年度の受験者数は557,699 人。そのうち浪人生は100,376人。
2021年度の受験者数は535,245 人。そのうち浪人生は81,007人。
既卒生が2万人程度減っていて、全体の減少数のほとんどは既卒生の減少分だったことが分かります。
50万人以上が受験する本試験が、コロナ禍でも問題なく実施できたというのは、本当にすごいことだったと思います。大学関係者の皆さんの尽力に頭が下がる思いです。
終わってみれば、センター試験時代と変わらない平均点のレベルでした。もっと難しくなって、波乱が起きるかと予想していましたが、英語の試験スタイルの変化についていけるかどうかのあたりで違いが出た感じでしょうか。
ただし地理で高得点を取りにくかったので、難関大を受験する理系の受験生は二次の出願で悩んだかもしれません。

足切りライン予測

東大の足切りラインは、理Ⅰでは予備校の予想値がかなり近かったのですが、その他では予想を大幅に下回る結果になりました。
文Ⅱにいたっては、足切りなしとなっていました。
いったい何が起きているのかと、いろいろと考えを巡らせていました。
2021年度も安全志向が強いと見られていたので、予備校の予想を見てボーダーラインの受験生が回避したことは一つの理由として考えられると思います。実際に、一橋大学の経済学部の受験者数が、共通テスト後の集計よりも増えていたのは、東大から一橋大に志望変更した受験生の影響もあったのではないかと思います。
直前になって、二次試験をとりやめて共通テストだけで合否を判定する大学が現れるなど、とにかく混乱しまくっていました。
何を判断材料にすれば良いか分からず、出願校をどう決めるかに迷いに迷った受験生も多かったと思います。

早稲田大学政経学部

私立大学の雄が、一般入試の入試制度を大きく変更したことで話題になりました。
共通テストを利用して数ⅠAを必須としたこと。
二次試験は、日本語と英語の総合問題2問での受験となること。
2020年度の志願者数が5,584人だったのが、2021年度は3,495人に大幅に減少しました。
従来は英語・国語・地歴または数学の二次試験だったので、私立文系組、つまり英語と国語と地歴の3科目のみに絞っていた受験生が、2021年度は回避してしまったのではないかと思います。
いっぽうで、共通テストの配点が半分を占めるので、共通テストで9割得点し、かつ二次試験で数学を必要とする東大の受験生にはかなり有利になったのではないかと思います。さらに東大の文系受験生だけでなく、理系の受験生も挑戦したのではないでしょうか。
募集人員が450人から300人に減ったのに、合格者数は640人から730人と大幅に増えています。早稲田政経を第一志望にしている受験生が減り、東大と併願している受験生が増えたと見込んでの判断なのかもしれません。

国公立大学二次試験

共通テストの足切りが下がっていた東京大学。
本番はどうなることかと思いましたが、3月10日の結果発表を見た限りでは、ほぼ順当に終わったということかと思います。
今年はとうとう、合格者最高点、合格者平均点、合格者最低点の3つともが、文Ⅰを文Ⅱが上回るという結果になりました。
駿台の東大実戦の結果から、2021年度の文Ⅱ受験生は、上位層が非常に厚いと言われていました。
その通りの本番の結果だったということです。
また公立高校からの合格者と女子の合格者が増えたことでも話題になりました。
数学で標準的な問題が出て、中高一貫で数学を得意とする受験生との差がつきにくかったということかもしれません。

終わってみれば、大きな混乱もなく、力のある受験生が、力を出し切りやすい入試で終わったのかなと思います。

これから駿台や河合塾が、2021年度の入試を分析するかとも思います。
合格者・不合格者の得点開示情報ももとに、今年の結果をどう総括するのか、ぜひ知りたいところです。

合格した受験生の皆さん、大学でも勉強を頑張ってください。
不合格だった受験生の皆さん、予備校の一年は長いようでいて、実はアッという間です。さらに二年目の入試のプレッシャーは半端ないです。そんなプレッシャーをはねのけてしまうぐらいの得点力をぜひ身につけてください。

皆さんの前途が洋々たるものであることを祈っています。

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