科学と非科学のはざまで
2019年の国語第一問の出典は、中屋敷均氏の『科学と非科学のはざまで』でした。
この文章、もともとは講談社のPR誌である『本』の連載からの出典です。
書店に行った際に、レジ脇にまだ残っている時は、この『本』を頂いてきていました。
ですので、毎月ではないのですが、中屋敷氏の連載も読んでいました。
たしかに、含蓄ある文章だなと思っていましたが、まさか東大国語の問題文となるとは・・・
先見の明がなかったと言えば、それまでです。
出版不況のあおりで
以前、女子学院中学で蜂飼耳の『涙』が出題されました。この作品、毎日新聞社のPR誌である『本の時間』2011年5月号に収録されていたものです。PR誌からも、国語の入試問題の出典になるんだと、意識するようになったきっかけの作品でした。
毎日新聞社の『本の時間』は、私も大好きなPR誌でした。
蜂飼耳『空席日誌』(『涙』が掲載された連載)
恩田陸『ダンデライオン』
元村有希子 『気になる科学』
長野まゆみ『団地で暮らそう』
といった面白い連載があり、PR誌とは思えない充実ぶりだったので、定期購読をしていました。
しかしながら2013年に、残念ながら休刊となってしまったのです。
出版不況のあおりで、PR誌を継続することもなかなか大変な状況なのだと思います。
おすすめのPR誌をご紹介
そんな出版不況の中でも、今も頑張っている出版社のPR誌を、いくつかご紹介します。
講談社『本』
中屋敷氏の連載が終わり、2019年は千葉聡氏の『進化学者のワンダーランド』がスタート。
他にも、社会学者の大澤真幸氏、平田オリザ氏、池上彰氏など、さまざまな分野にわたる至極の文章が並ぶPR誌です。
https://gendai.ismedia.jp/list/hon
新潮社『波』
私がものごころついたころから、今は亡き母が愛読していたPR誌です。
毎月、新潮社の封筒が届いていたことを、なぜかよく覚えています。
昭和の時代には、この『波』から数多くのベストセラーが生まれていたので、読書好きにはたまらないPR誌だったのでしょう。
現在でも、阿川佐和子氏、古市憲寿氏、山下洋輔氏、津村記久子氏など、さすがに新潮社だけあって、幅広い執筆陣をそろえたPR誌になっています。
https://www.shinchosha.co.jp/nami/
筑摩書房『ちくま』
やっぱり筑摩書房なので、「やわらか硬派」な感じの文章がならびます。
斎藤美奈子氏、梨木香歩氏、戸田山和久氏などなど。
社会派な文章好きにはもってこいのPR誌です。
http://www.chikumashobo.co.jp/blog/pr_chikuma/
小学館『本の窓』 集英社『青春と読書』
いろいろな小説も読みたいと思う方にはこちら。
https://www.shogakukan.co.jp/magazines/series/069000
http://seidoku.shueisha.co.jp/seishun.html
角川書店『本の旅人』
角川春樹事務所のほうは2008年から『ランティエ』を出していますが、角川書店のほうは1995年から『本の旅人』を出しています。
2019年3月号から長野まゆみ氏の『その花の名を知らず』、2019年4月号から酒井順子氏の『鉄道無常 内田百閒と宮脇俊三を読む』が始まったので、私も定期購読しようかと思案しています。
https://www.kadokawa.co.jp/product/321803001610/
書店で気付いた時に手に取るもよし。
定期購読で読むもよし。
出版社のPR誌も、ぜひ楽しんでみてはどうでしょうか。
そして出版社を応援する意味でも、紹介されている書籍で気になるものがあれば、ぜひ購入してもらえればと思います。
(古本屋や公立図書館ではなく)