ある大学院生が手に取って
世の中には、戦略コンサルティングファームと呼ばれる企業が存在します。
コンサルティング会社というのは数多あり、世界的に有名な企業から、日本でのみ展開している企業、さらには自称経営コンサルタントの個人事業まで、さまざまです。
そうした中で、マッキンゼーとボストンコンサルティングは、大手企業の経営戦略策定を支援することで、1990年代は二大巨頭として活躍していました。
もともとは米国企業ですが日本に支社を展開し、1980年代から1990年代はマッキンゼーの大前研一氏、ボストンコンサルティングの堀紘一氏という有名コンサルタントが、両社を牽引していたのです。
大学を卒業後、事業会社などに就職した若者が留学して、米国のMBAを取得したのち、マッキンゼーやボストンコンサルティングに転職するケースがほとんどだったと思いますが、1990年ごろからは大学を卒業してすぐの新卒学生も採用するようになりました。
現在ほど戦略コンサルティングファームの認知度は高くなく、新卒の就職先としてはレアなケースではあったものの、大学院生だったボク自身は関心を持って見ていました。
その頃、手に取って読んでいたのが、大前研一氏の『企業参謀』です。
戦略的思考なるもの
イシューツリーやプロフィットツリーなどは、2000年代のコンサル本のコモディティ化で多くの人が目にするようになった考え方ですが、1990年ごろはそれほど知られていませんでした。
そうした手法を活用しながら、どのように企業戦略を立てていくのかを、実践的に紹介しており、当時、衝撃を受けたことを鮮明に覚えています。
まだビジネスの世界に足を踏み込んでおらず、大学院生のアタマでは、どこまで理解できていたのかは怪しい限りですが。
しかし、仮説を立てて検証していくアプローチは、科学の世界での研究アプローチと通じるものがあり、納得感のあるものだったのは確かです。
大学院生だった当時から、ビジネスの世界で仕事をするようになってもなお、『企業参謀』を手元において、なんども読み返してきました。
ボクのビジネス観は、ここから始まったと言っても、過言ではない。
それが、この伝説のビジネス本です。